本が出版されるまでの流れ
今回は、本を出版するまでにどのようなステップがあるか、その流れについてざっくりとした全体像をお伝えしていきます。
①企画書の作成
まずは企画の方向性を編集者と著者が相談しながら詰め、企画書を作成していきます。企画を持ち込んだ場合でも、その企画を揉みなおし、新たな企画書を作成することとが多いです。調整した企画書を企画会議に提出し、無事に会議を通過すれば、晴れて書籍化に向かってスタートを切れます。
②目次案(構成案)の作成
出版社によっては、企画書作成の段階でここまで作成することもあります。各章のテーマ、そして中身までを詳細に組み立て、全体の内容や流れを明確にしていきます。
③サンプル原稿の作成
目次案が固まれば、実際に原稿を執筆していきますが、いきなりすべての原稿を書いてもらうことはしません。まずは、はじめに~1章分くらいを「サンプル」として執筆してもらい、内容の方向性や文体・表現などをすり合わせます。
④全体の執筆
サンプルで原稿の方向性をすり合わせたら、残りの章の執筆も進めてもらいます。この場合でも、章ごとに編集者にチェックしてもらうことが多いです。そして全体の原稿がそろったら、編集者が詳細に原稿を確認・整理し、ゲラにする準備を整えていきます。
⑤ゲラの確認
ここまででやり取りしている「原稿」は、だいたいはWordファイルです。これをゲラ(実際のレイアウトデザインに当てはめたもの)にし、初校、再校と確認を進めていきます(3~4週間ほどの時間がかかります)。Word原稿で完璧に整理したと思っていても、実際に紙で見ると、受ける印象が変わりますので、ここでいくつも修正箇所が出てくるでしょう。
⑥カバーデザインの作成
初校ゲラが出たあたりで、本のタイトルが確定します。ちなみにタイトルは、社内でタイトル会議をして決めることが多いです。タイトルが決まれば、編集者はデザイナーにカバーデザインを依頼します。カバーについては、どの紙を使うか、どんな加工にするかまで、予算を考えながらデザイナーと相談し、編集者の裁量で決めていきます。
⑦データ入稿
ここまで整えていった本文、そしてデザイナーとつくりこんだカバーのデータを印刷会社に入稿します。
⑧プルーフ、色校の確認
印刷会社から本文の最終確認をするための「プルーフ」があがってきます。ここでノンブル(ページ数)はしっかり入っているか、誤字脱字はないかなど、最終チェックを行います。
カバーについては「色校」という、実際の紙に刷ったものがあがってきますが、ここでは発色などを確認します。「スミ文字をもっとハッキリ出してください」というように、気になる箇所を印刷会社に伝えます。また、ここで誤字脱字などが見つかれば、デザイナーにデータを修正してもらい、再入稿します。
⑨見本出來
プルーフ、色校の確認を終え、印刷会社に戻したら、編集者の仕事は終わりです。その約2週間後には本の「見本」があがってきます。見本といえども、実際に販売する本とまったく同じ状態のものです。もし、ここで致命的な誤植等が発見されたら、そのときは、至急印刷会社に連絡し、すべて刷り直しをすることもあります。
⑩配本
見本出來から1週間ほど経つと、取次会社を通して書店に配本され、発売となります。
いかがでしょう。これが出版までのおおまかな流れです。これから本を出したい人などはぜひ参考にしてみてくださいね。