「本を出版したい」を実現するブログ ――目指せ商業出版

現役の書籍編集者が教える、実績ゼロから商業出版を実現する方法。

「本を出版したい」あなたが最低限知っておきたいこと(商業出版と自費出版の違い)

 今回は、本の出版に最低限必要な知識をお伝えしておきます。

 このブログを見ている方は、少なからず本を出版したいと思っているはずです。

 では、皆さんは本の出版には2種類の方法があることをご存知でしょうか?

 

◇出版の花形「商業出版」とは?

 

 まず、1つ目が商業出版です。これが一般的な本の出版方法です。あなたは著者として、編集者の万全のサポートを受けながら、二人三脚で1冊の本をつくりあげます。編集者もあなたの本を「売りたい」と強く思っていますので、本気であなたの本を、売れる本に仕上げようと努力します。
 

 もちろん、出版に際して、あなたがお金を払う必要はありません。1冊の本をつくるためにはだいたい300万円前後の制作コストがかかりますが(初版制作コスト、編集者の人件費を除く)、それらはもちろん出版社が負担します。
 

 しかもあなたは、著者として印税ももらえます。印税条件は出版社によって異なりますが、たいてい定価の10%くらいです。あなたの本は、全国の書店で並び、多くの人が手に取ってくれるでしょう。

 

自費出版と商業出版の違い

 

 では、もう1つの出版方法とは何か?

 それは「企業出版」「自費出版と言われるものです。その名の通り、あなたが出版に対する制作コストを負担しなければなりません。印税についても、発生しない or 発生しても微々たるものでしょう。
 

 また、全国の書店にもほとんど並びません。初版の発行部数も、商業出版に比べると非常に少なく、全国の書店に並ぶことはほとんどないでしょう。出版社としては、自費出版の本を「どんどん販売して儲けよう!」という気持ちがないからです。あなたからいただくお金で、ある程度は利益がなりたちますし、営業部が限られた労力を使うのは編集者が必死につくった「商業出版」のほうになります。
 

 ですから編集者も、あなたの本のタイトルや原稿も、そこまでちゃんと考えません。編プロに丸なげということもあるでしょう。商業出版では、小見出し1つや、たった一文の表現についても、「本当にこれが読者に響くのか?」という視点で、編集者が細かくチェックを入れます。タイトルやカバーについても、必死に知恵を絞りだし、少しでも多くの読者に届く方法を模索します。
 

 しかし、自費出版では基本的にはそのようなことはしません。お伝えしたとおり、売るつもりがないからです。たとえば、あなたが「タイトルをこのようにしたいです」「カバーの色は〇色にしたいです」と言えば、たいていはその通りになるでしょう。結局は、あなたの「自己満足」のためにつくっている本ですし、お金もいただいているわけなので、編集者は「下手に揉めるよりは、言う通りにつくったほうがいい」と考えるからです。
 

 いかがでしょう。あなたは本を出したいのでしょうか? それとも本を出して、誰かに影響を与えたいのでしょうか?
 

 ただ単に、本を出したいのであれば自費出版もひとつの選択肢です。しかし、より質の高い状態の本を出し、書店に流通させ、あわよくば印税もたくさんもらいたいのであれば……目指すべきは商業出版です。

 最後に、ここまでに挙げた商業出版と自費出版の違いをかんたんにまとめておきます。
 

★商業出版

・製作費は、すべて出版社の負担

・印税も約10%ほどもらえる

・初版は5,000部前後からスタート

・全国書店に流通

・編集者が本気で向き合う

 

自費出版

・製作費は、あなたが負担

・印税ももらえない、もしくは少しだけもらえる

・初版は2000部前後くらい

・ごく一部書店にのみ流通

・編集者は、あなたの本を「売ろう」と本気で向き合わない